2013.09.04.Wednesday

日経BP社『Dignio』に記事が掲載されました!

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鞄や手帳と同様にセンスが問われるアイテム

テザリングなどスマートフォンの活用シーンが増えるにつれ、バッテリーへのケアがより重要になっている。外出先の電源をとれない環境でもスマートに充電できるモバイルバッテリーは、今やビジネスパーソン必携のツールと言えるだろう。
モバイルバッテリーをただ“充電できればいい”と見なしていないだろうか。周辺機器のデザインについてノーケアであることが多いのは残念な話だ。周辺機器によっては、いくらスタイリッシュなスマートフォンであっても実際に接続した途端に生活感が前面に出てしまう、デザイン同士がケンカしてちぐはぐな印象を与える、といったことにもなりかねない。
モバイルバッテリーは鞄や手帳、名刺入れなどと同じ位置づけで選びたい。なぜなら、鞄や手帳、名刺入れなどと同様にモバイルバッテリーは意外に注目される持ち物であり、そのデザインによって持つ人の印象を左右するアイテムであるからだ。

多種多様なモバイルバッテリーの中で異彩を放っているのが、Urban Utilityから登場したシリーズだ。目立たない。しかしながら、確たる存在感が静かに醸し出されている。そんな不思議な魅力がある。デザイナー・山岸隼人氏はコンセプトについて語る。
「使用シーンを明確にイメージしてデザインしています。重視したのは置かれたときの佇まい。スマートフォンと並んだときの一体感、そして調和です」

曲線が美しい「Round」は、そのコンパクトなボディにUSBケーブルを収納している。初見でこれがモバイルバッテリーであると気づく人は少ないだろう。ケーブルを取り出し、スマートフォンと接続する。そこで「してやられた」と合点がいくはずだ。
徹底した引き算のデザインはシンプルな美しさを体現している。ミニマルなモノトーンの世界観は、どこか伝統的な「和」のイメージと結びつく。山岸氏は「ふすまや和食器などシンプルさの先にある洗練された使い勝手まで到達したかった」と話す。

シンプルさの先にある洗練されたデザイン

カラーはブラック、ホワイト、クロームグレイの3色。ブラックはマットに、ホワイトは光沢を生かす、クロームグレイは透明感を表現するという具合に、それぞれ仕上がりと質感を変えている点もニクい。ブラックをよく見ると、外側のパーツの黒色に比べて内側のパーツがやや薄く、実はツートンカラーであることに気づく。このような微妙な配慮の一つひとつが、シンプルな中にも豊かな表情を生み出している。
「シンプルさは度が過ぎると、無骨な印象に振れてしまいます。一見するとシンプルそのもの。しかし、そこにスマートさや遊び心が隠れている。そんなデザインを意図しています」

曲面部分にも注目してほしい。この形状を実現しようとする場合には通常なら2つのパーツを合わせるため、パーテーションライン(金型同士のつなぎ目の線)がカーブする山の頂点にくるはずだ。しかし、「Round」は曲面の美しさを追求し、難易度の高い1つのパーツで成形されている。
「プロダクト、特に機能面ばかりが重視されがちな周辺機器は、“作りやすさ”でデザインされる傾向が強い。まず初めに理想とするデザインがあり、それを技術力で実現したモノづくりをしなければならない。長く愛されるアイテムは、そうして生まれるのだと信じています」

モバイルバッテリーで魅せるか否か。使うよろこびを求めるか否か。答えは簡単に出そうだ。

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